mon-ken’s memo

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無印良品とパリのアパルトマンが好き

読書)ギャラリーフェイク

mon-ken:読書

作者は、細野不二彦。

東京のウォーターフロント。この地でギャラリーを営む主人公は、およそ美術に関わる人間なら誰もが知る「業界の鼻つまみ者」でした。

なぜならそのギャラリーは、表向きは贋作(がんさく)専門の画廊(がろう)ですが、裏ではブラックマーケットに通じ、盗品や美術館の横流し品を法外な値で売りさばくといううわさがあったからです。

そんな主人公ですが、物語が進むにつれ、かつてニューヨーク・メトロポリタン美術館(MET)では超一流のキュレーターとして名をはせていたことがわかってきます。 

陽の当たる道を歩んでいたはずの彼。いったいどこで道を踏み外したのでしょうか。

このギャラリーでは、ひょんなことから、中東のとある小国の王女様がアシスタントとして働いています。彼女は、伝え聞くMET時代の彼よりも、今のすこしインチキくさい彼のほうがすてきだと思っているようです。

そして物語の要所では、かつては主人公をリスペクトし、今や私立美術館の館長となった才色兼備な女性が登場します。彼女は、彼がたんなる悪徳画商に堕(お)ちきってはおらず、今でもその奥底(おうてい)には美への畏敬(いけい)があることを知っているがため、もう一度、彼を表舞台に出そうとします。

本作は、たんなる古今東西の絵画・彫刻や陶磁器の紹介ではありません。各国の歴史・政治・経済等も複雑にからんだ美の世界が展開されています。

 


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